1982年日本GP

 1982年、河崎裕之、石川岩夫がXR40(ポイント対象外)で全日本選手権に出場していたが、市販RG500に乗る水谷勝が圧倒的な強さを見せ、XR40は1勝も出来なかった。最終戦日本GPでは水谷にもXR40が与えられたが、レースは台風のため中止になった。

  下左の河崎のB-4型はB-1型に似ているが、バックボーン-シートレール間の補強の形状が少し異なる。下中は石川のおそらくB-1型。下右はプラクティス中の水谷。フレームはA-4型のようだが、スイングアームはB-1型の補強の孔を塞いだもののようだ。3台ともサイレンサーに突き出しがある。


3 現存するマシン

(1) -/RGΓ500 1106(エンジン番号不明)

  おそらくウンチーニのマシン。フレームはA-4型(エンジン搭載位置後)。クラッチ作動機構に「XR3500」、左後シリンダーに「11211XR3501」の浮彫あり。後サスペンションのロッカーアームに「X40-M2」の刻印あり。
 


(2) -/RG500-1102
(エンジン番号不明)

 おそらくマモラのマシン。フレームはB-1型。
 
アッパークランクケースに「11321XR4001」、右クランクケースカバーに「11341XR4000」、左後のロータリーディスクバルブカバーに「12453XR3500」の浮彫あり。後サスペンションのロッカーアームに「X35-M3」の刻印あり。
 
  (1)のエンジンは次の理由からXR35エンジンだと思われる。
・(1)と(2)のエンジンのクランクケースを比較すると、(1)はXR35のもの(下)に酷似している。(2)のアッパークランクケースには11321XR4001の浮彫がある。
・(1)の右クランクケースカバーの形状が(2)の「11341XR4000」クランクケースカバーと異なり、XR35のものに酷似している。
・(1)のシリンダー形状が(2)のものと異なり、11211XR3501の浮彫がある。

 車体は明らかにXR40(A型)である。おそらく、チームガリーナはマシンをスズキに返却する時、前年使用したXR35エンジンに積み替えたのだろう。なお、後サスペンションのロッカーアームに「M2」の刻印がある。とすると「M」または「M1」と刻印されたものが存在したと思われる。これがB型フレームなのか、A型の別仕様(スイングアーム周りのみの別仕様あるいはフレームを含めた別仕様)なのかはわからない。

4 諸元

  XR40 XR35(参考)
エンジン形式 2ストローク水冷スクエア4気筒
吸気制御 ロータリーディスクバルブ.
ボア×ストローク o 56×50.6 54×54
シリンダーポート 排気×1、掃気×7
キャブレター ミクニ36oまたは38o ミクニ36o
クランク 2気筒別体、メインベアリングは各ボールベアリング×4
動力伝達経路 各クランク→クランク間ジャックシャフト→クラッチ→変速機メインシャフト→カウンターシャフト
点火間隔 180度(対角線の2気筒が同時点火)
点火方式 CDI
変速機 6速(1〜4速:各7種、5〜6速:各5種) 6速(各4種)
最高出力 135PS 130PS/11000rpm
フレーム アルミ スチール→アルミ
前サスペンション カヤバ製テレスコピック(ブレーキ圧作動アンチダイブ機構付) カヤバ製テレスコピック(ブレーキ圧作動アンチダイブ機構付)、インナーチューブ径40o、ストローク120o
後サスペンション ロッカーアーム(カヤバ製ショックユニット下部はスイングアーム)
前ブレーキ 310oφローター×2、対向ピストンキャリパー×2 310oφローター×2、対向ピストンキャリパー×2
後ブレーキ 230oφローター、対向ピストンキャリパー 230oφローター、対向ピストンキャリパー
前ホイール 3×16、3.5×16 3×16、3.5×16、2.5×18
後ホイール 3.5×18、4×18 3.5×18、4×18
車重 kg 117(半乾燥?) 128(スチールフレーム)、125(アルミフレーム)(半乾燥?)
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