4 1982年 HONDA
ホンダは、TT-F1以外の改造可能範囲の広い大排気量クラスでもRS1000を走らせていたが、1982年には水冷V型4気筒のRS1000RWが登場した。このマシンはTT-F1規格のレースには出場できず、RS1000が、事実上TT-F1専用マシンとして用いられた。
1981年までRCB1000、RS1000のエンジンはドライサンプ潤滑だったが、1982年型ではウェットサンプに変更された。また、1982年にTT-F1規格が緩和され、キャブレターの形、サイズの変更が認められるようになったが、耐久レースでは1981年までと同様、CV型が引き続き用いられた。車体では1980年に試験的に使用されたプロリンク後サスペンションが本格採用され、前フォークはD型が引き続き用いられた。前ブレーキキャリパーばAPロッキード製が主に使用されたようだ。
第1戦イモラ24時間(イタリア)ファクトリーチームがボイコットし、Gerrie
van Rooyen/Marco Bonke(カワサキ)が優勝。
第2戦ニュルブルクリング8時間(ドイツ)は時々雨が降るコンディションで行われ、シュマラン/ジャック・コルヌ(カワサキ)、2位は1周目に転倒したフルチ/ファウ(RS1000)で、サロン/ロシュはリタイア。
第3戦エステルライヒリング1000km(オーストリア)はサマン/ペルネ(スズキXR69)が優勝、モアヌ/ウバン(XR69)、シュマラン/コルヌと続き、ホンダ・フランスの2組は序盤でリタイア。第4戦バルセロナ24時間(スペイン)は安全性の問題からファクトリーチームがボイコット、クリスチャン・ベルト/ジャン・モナン/マルク・グラニ(カワサキ)が優勝。
第5戦鈴鹿8時間ではホンダ・フランスの2組に加え、ボールドウィン/ジョン・ベトンコート、アンドリュー・ジョンソン/グレッグ・プレティ、木山賢悟/阿部孝夫がエントリーしたが、土曜日午前中のプラクティスでベトンコートが転倒し負傷。ボールドウィンと木山が組み、阿部は一ノ瀬憲明と組むことになった。 | ![]() |
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上左はジョンソン/プリティ、上中はボールドウィン/木山のマシンで、いずれも油圧クラッチ仕様。うえ右上はレース中のフルチのマシンでケーブル作動クラッチ。おそらく阿部/一ノ瀬のマシンも油圧クラッチ仕様と思われる。
レースは台風の接近により6時間に短縮され、豪雨の中、スタート。ボールドウィンは2周目の130Rで転倒、ピットイン後に再スタートするが、スプーンコーナーでブレーキ故障でリタイア。阿部/一ノ瀬は阿部から一ノ瀬にライダー交替した直後に転倒しリタイア。レースはCB900Fに乗るホンダ社内チームの飯島茂男/萩原紳治、伊藤裕之/吉村俊宏が1-2位で、フルチ/ファウ(上右)が5位、ジョンソン/プリティは14位。
第6戦リェージュ24時間(ベルギー)はサロン/ジョベール/クリスチャン・ルリヤール、ファウ/フルチ/ベルタンが出場。午後4時にスタートしたレース、午後6時過ぎにルリヤールが他のライダーと接触し転倒リタイア、午後7時過ぎには他の1組もエンジン故障でリタイア。優勝はシュマラン/コルヌ/セルジョ・ペランディーニで、2位はラフォン/ギユ/ヘルムート・ダーネのカワサキ1-2。右はファウ。 第7戦ドニントン1000km(イギリス)はモアノ/ウバンが優勝。第8戦(最終戦)ボルドール24時間(フランス)はサロン/ジョベール/.ベルタンがスタート後7時間で首位に立つが、エンジン故障、転倒で遅れ8位、フルチ/ファウ/ジャック・ボルも終盤に2位に上がるが、エンジン故障でリタイア(周回数により10位入賞と認定)。優勝はラフォン/ギユ/パトリック・イゴアで、シュマラン/コルヌ/ペランディーニが2位と、第6戦に続いてカワサキ1-2。この結果、シュマラン/コルヌがタイトルを獲得した。 |
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1982年、ファクトリーRS1000は全8戦中6戦に出場するに留まり、スズカでは豪雨に見舞われたという不運もあったが、結局、1勝も挙げることはできず、ライダーランキングでも誰も10位以内に入らなかった。1983年にはTT-F1規格に適合するV型4気筒・RS850Rにバトンタッチすることになり、ホンダ・ファクトリー空冷並列4気筒の最後のシーズンは散々な結果に終わった。
ホンダGBのRS1000 RS1000RWの登場に伴い、RS1000はTT-F1規格が適用されるレースを中心に走ることとなった。左はシーズン前の公開されたマシンでオイルクーラーはメーター下に移設されている。フレーム・ダウンチューブに本来のホイルクーラー装着部が残っている。 右はスイングアーム形状が他のRS1000と大きく異なり、後サスペンションがプロリンクではなく、ヤマハのモノクロス同様、クッションユニットが前傾(リンク機構なし)している。 |
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現存するマシン
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