2RC166

 ホンダの技術者だった八木静夫氏の書かれた「世界二輪グランプリレースに出場したホンダ レース用エンジンの開発史」(1994 HONDA R&D Technical Review)によると1967年はショートストロークのRC166改(2RC166)エンジンが用いられたとされているが、海外の文献の多くは1967年第12戦カナダGPにニューマシンが登場したことになっている。特にホンダ6気筒について書かれた「MIKE HAILWOOD ET LA HONDA-SIX」では「ホンダの監督・メカニックだった秋鹿方彦氏の記録では」とある。
  また、本文に書いたように日本GP250ccでのヘイルウッドのマシンはフェアリング右下後端がカットされており、排気管が変更されたことを窺わせる(単なる消耗の可能性もあるが)。
 
 さらに、仮に2RC166Eが1967年当初から使用されていたとすると次のような疑問があるため、本文では後半から2RC166Eが使用されたものとした。

(1)ブライアンズが1967年前半に用いたエンジンは本文に書いたように2RC165Eのシリンダーブロックを使用した寄せ集めと思われる。ブライアンズには少なくとも3RC165E、RC166Eブロックを用いたエンジンが与えられるべきではないだろうか。

(2)現存するRC166E-102と打刻されたエンジンは2RC166Eだと思われるが、なぜ「2RC166E-1○○」、または「RC166E-2○○」と打刻され、打刻上も2RC166Eであることを示していないのだろうか。シーズン途中から投入されたため、カルネ等の問題を避けるため従来型と同じ打刻にしたのではないだろうか。

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