4 1966年        SUZUKI

 1966年型RT66は1965年最終戦日本GPで登場したRT65をベースにしたマシンである。50ccクラスでは前年最終戦日本GPでアルミフレームが登場し、125tクラスでもアルミフレームが第1戦スペインから用いられたが、スチールフレームも併用され、レース、ライダーにより使い分けされた。また、第8戦マン島でボア・ストロークを変更したRT66Yエンジンが登場した。

 チームは開幕当初、アンダーソン、ぺリスの2人体制で、第3戦オランダから片山が加わった。また、50ccクラスのみ契約したアンシャイトにもRT66もが貸与され、第1戦スペイン、第2戦ドイツに出場した。 

 戦績については、中野広之氏のサイトに詳しく記述されているのでご覧いただきたい。
http://www.iom1960.com/1966/1966-honbun.html

ドイツGP(アンダーソン、リード) ドイツGP(アンシャイト) 東ドイツGP(片山) マン島TT(アンダーソン(RT66Y)) 日本GP(アンダーソン(RT66Y)、伊藤(RT66Y)、リード) 日本GP(片山、レースでは別個体が用いられた模様)

 1966年使用されたエンジン、フレームは次のとおり。

    E A N AE CZ FIN U TT I J 備考



T6-2   Anscheidt 片山 片山 片山 片山 片山       片山用
T6-3   Anderson Anderson Anderson   Anderson Anderson Perris     Anderson用
T6-5                   片山  
T6-6 Anscheidt                    
T6-10   Perris Perris Perris     Perris       Perris用
T6-11 Perris       Perris Perris         Perris用
T6-12 Anderson                   Anderson用
T6-17         Anderson            
T6Y-2               Anderson     RT66Y
T6Y-52                   Anderson RT66Y
T6Y-53                   伊藤 RT66Y



T6-5           Anderson Anderson Anderson     スチール:Anderson用
T6-6                   片山 スチール
T6-52 Anscheidt                   アルミ
T6-53   Anderson Anderson Anderson Anderson         Anderson アルミ:Anderson用
T6-54   Anscheidt 片山 片山 片山 片山 片山       スチール:
片山用
T6-55 Anderson                   スチール
T6-56   Perris Perris Perris Perris Perris   Perris   伊藤 アルミ:
Perrsi用 
T6-57 Perris           Perris       スチール:Perris用
イタリアGPは欠場。

 RT66Yのエンジン番号からするとRT66Yエンジンに2種類あると思われるが、詳細は不明。

 また、フレーム番号からすると、2種類のスチールフレームが用いられたことになる。 

 

5 1967年

 1967年のマシンはRT67として知られているが、エンジンはRT67U、フレームはRT67UとRT67Vが用いられた。RT67Uフレームはグレアムに用いられ、RT67Vは片山用で、RT67Vフレームはエンジン搭載位置を上げ前面投影面積を減らしたもの。
 右写真(東ドイツGP)で、グレアム(手前)、片山(中央)のマシンのフェアリング形状の違いがよく分る。

 戦績は中野広之氏のこちらの頁を参照されたい。 
http://www.iom1960.com/1967/1967-honbun.html

 

 1967年に用いられたエンジン、フレームは次のとおり。  

  E A F TT N AE CZ FIN U I C J  備考
T7-2-2 Graham           片山            
T7-2-3   Graham Graham Graham Graham               グレアム用
T7-2-5 片山 片山 片山 片山 片山 片山 片山           片山用
T7-2-6           Graham Graham Graham Graham       グレアム用
T6-3   Anscheidt               Anscheidt      
T7-2-35 Graham Graham Graham Graham Graham Graham Graham Graham Graham       RT67U
T7-3-51 片山 片山 片山 lat 片山 片山 片山           RT67V
T6-57   Anscheidt               Anscheidt     スチール
※イタリアGPはスズキファクトリーは欠場しアンシャイトがRT66で個人出場、カナダGPは欠場、日本GPはRS67Uで出場。

 RT67Uエンジン、RT67U、RT67Vフレームが実戦で用いられたということは、別にRT67(RT67Tに相当)が存在したはずである。おそらく、1966年第8戦イタリア、第10戦日本で用いられたRT66Y(ショートストロークエンジン)をベースにしたマシンではないかと想像する。

5 1968年以降

 中野広之氏によるとhttp://www.iom1960.com/1968/1968-honbun.html
アンシャイトにRK67とRT67Uが貸与されたとあるが、グレアムにもRT67Uが貸与された。また、アンシャイトの自伝「王座への道」(1969八重洲出版)によると、1966年、アンシャイトは50tのみの契約だったが、125tマシン、つまりRT66も貸与された。そして、アンシャイトは1967年にもRT66を貸与され世界GPに2戦出場しているが、1966年にアンシャイトが用いたRT66とはエンジン/フレーム番号が異なり、1966年にアンシャイトが用いたマシンはスズキに返却され、1967年シーズンのため新たにRT66が貸与されたものと考えられる。スズキのGP撤退後もこのRT66がアンシャイトの手元に残った。したがって、1968年シーズン開始時に、グレアムのRT67U、アンシャイトのRT67UとRT66の計3台がヨーロッパにあった。

 アンシャイトは125tクラス第1戦ドイツで2位、最終戦イタリアで3位入賞したが、第1戦で用いられたのはRT66スチールフレーム。

  そして、1969年以降、これら3台のマシンが第三者の手に渡り、世界選手権を走ることになる。
 このうち、グレアムのRT67Uは1970年にバリー・シーンの手に渡り、1970年最終戦スペインGPで初出場、2位入賞した。そして、1971年の125t世界GPではベルギー、スウェーデン、フィンランドの3GPに優勝し、ランキング2位となった。

 TEAM SUZUKI by Ray Battersby, Osprey 1982/Parker House 2008に次の記述がある。

"He(Anscheidt) also received a 125cc RT66 and enough spare parts to build an RT67. He sold the RT66 to Dieter Braun〜"
"〜ex-Anscheidt RT67 was sold to the sponsor of Cees van Dongen"

 もちろん、この「RT67」はRT67Uのことである。

 van Dongen、ブラウンは1969年に各々1勝を挙げ、1970年にはブラウンがフランス、ユーゴスラビア、マン島、オランダで4勝しタイトルを手にしたが、TEAM SUZUKIのとおりRT67U→van Dongen、RT66→ブラウンなのだろうか。そこで、水冷RTについて詳しく見ていく。

RT63改A

 左は1964年日本GPでの片山義美のRT63改(空冷)、中はエルンスト・デグナーのRT63改A(水冷)で、クランクケースの形状は同じである。フレームの後サスペンションアームのピボットプレートのピボット部上下に穴がある。
   64日本GP RT63改 64日本GP RT63改A  65日本GP RT65

RT65

 1965年シーズンを通してRT63改Aが用いられ、RT65は最終戦日本GPでアンダーソンと越野晴夫に用いられた。上右は越野のRT65。クランクケース形状がRT63改Aと異なるし、オイルポンプも装着されている。
 フレームはバックボーンタイプとなり、エンジン下にフレームパイプはなく、後サスペンションアームピボットプレートの穴はない。 

RT66

 右は日本GPでの、おそらく片山のスチールフレームRT66。エンジン、フレーム、何れもRT65に似ている。なお、オイルポンプは取り外されている。

 下左、下右は現存するRT66(スチールフレーム)で、フレーム番号は一桁。右のマシンと同型と思われる。
 

 
 
 
 左、右は1966年マン島TT125レース中のアンダーソンとT6Y-2/T6-53(アルミフレーム)で、エンジン下のフレームパイプがなくバックボーンフレームであることが分る。
 つまり、アルミフレームもバックボーンタイプである。
 
     
 RT66スチールフレームにはダブルクレードルタイプもある。右は1968年第1戦ドイツGPでのアンシャイトで、フレームは1967年にアンシャイトに貸与されていたT6-57と思われる。赤矢印のフレームパイプがフェアリングの前で途切れることなく伸びており、ダブルクレードルフレームと分る。

 RT66フレームについてまとめると以下のとおり。

 
材質 形式 レースで用いられたフレームのフレーム番号
スチールフレーム バックボーン T6-5、6
ダブルクレードル T6-54、55、57
アルミフレーム バックボーン T6-52、53、56
   
RT67U

 
右1967年第2戦ドイツGPでの片山のRT67U/RT67Vで、クランクケース形状がRT66と異なり、水ポンプが装着されていることが分る。
 そしてhttps://www.suzuki-motogp.com/60-years.html のRT67Uはex-バリー・シーンだとされている。クランクケース後端形状は右の片山のマシンと同じ。フレームはバックボーンタイプ。


ディーター・ブラウンのマシン

 右はhttps://knmvwegraces.wordpress.com/wegraces-deel-2/1971-sterglas-racing-みぎdieter-braun-suzuki-125/ から引用したもので、ブラウンのマシンの71年仕様。クランクケース形状は明らかにRT67Uで、水ポンプも装着されている。

 フレームはクレードルタイプで、写真ではわかりにくいが、ピボットプレート上下に穴が開いている。このフレームはRT66と思われる。 

 このマシンはRT67U/RT66と呼ぶべきマシンで、RT67UエンジンをRT66スチールフレーム・バックボーンタイプ(おそらくフレーム番号T6-57)に搭載したものと思われる。

Cees van Dongenのマシン

 右はhttp://www.imatranajo.com/galler692.htmから引用したものでCees van Dongenのマシンと思われる。シリンダーヘッド後端上からラジエーターホースがエンジン後部の水ポンプではなく上に伸びており(さらに前方のラジエーターに向かう)RT67UエンジンではなくRT66の可能性が高いと思われる。フレームはバックボーンタイプであり、TEAM SUZUKの記述と合わせて考えると、このマシンはRT66/RT67Uと思われる。ただし、RT67UクランクケースにRT66シリンダー等を組み合わせたエンジンの可能性もある。





6 現存するマシン
 右は現存するRT65とされるマシンだが、クランケケースはRT67Uで水ポンプ装着位置には蓋がされている。フレームは1965年にヨーロッパで走ったRT63改Aのダブルクレードルではなくバックボーンタイプ。

 他に、現存する(可能性のあるものを含む)マシンは次のとおり。
〇上のカラー写真のRT66
〇ex-バリー・シーンのRT67U/RT67U
〇ex-ディーター・ブラウンのRT67U/RT66
〇RT67Uクランクケース+空冷シリンダー+RT63フレームのマシン
〇RT63改A
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