3 現存するエンジン                            suzuki

(1)RP68
 
1970年代以降、公開されたRP68エンジンの写真はA:TEAM SUZUKI(by Ray Bettersby, Osprey 1982)、B:日本のレーシングモーターサイクルの歴史(八重洲出版)、C:別冊モーターサイクリスト誌1984年10月号・1994年4月号に載ったものである。

@Cの写真を見ると、シリンダーヘッドをボルトで固定するようになっていることが疑問である。当時のスズキレーサーはシリンダー、シリンダーヘッドをスタッド+ナットで固定するようになっており、Bもそのようになっている。したがって、CのエンジンはBとは別のもので、スタッドもなく、単にシリンダー、シリンダーヘッドをクランクケースに載せ、あり合わせのボルトで固定しただけのもののようだ。下はCの写真である。

 上方気筒の右に水ポンプがある。クランクケース上面の分配器からホースが伸び変速機等へオイルを送る。オイルポンプはここにはなく、右端写真の変速機の前に見える直立軸で駆動される。そして、変速機左前からオイルが出て、ホース(失われている)で分配器にオイルが送られる。
 左写真の左下のクランクシャフトは上方気筒のもの。他の2つとクランクギアの直径が異なることから、噛み合うジャックシャフト上のギアが異なることがわかる。手のひらに乗っているクランクシャフトは上方気筒のもの。右クランクケースカバーの前(右)には回転計ケーブル駆動ギア、後(左)にはエンジンオイルポンプがある。

  ABに掲載された下写真のエンジンは、前部のエンジンマウント部の冷却フィンの傷み方が@と異なり、直立シリンダーのスタッドがある。Aとは水平シリンダー、前クランクケースがないことがBと共通である。おそらく、同じエンジンだろう。また、TEAM SUZUKIのAcknowledgementsに「Mr ○○ kindly gave me the run of the factory racing department, allowing me to photograph hitherto secret racing machines.」とあることから、これらの写真はスズキ本社で撮影されたものと思われる。

  前クランクケース(下方2気筒のアッパークランクケース)はない。左写真では@とは異なり上方気筒のシリンダーヘッドの冷却水出入口は後方を向いている。単に組み付けのミスなのだろうか?また、右の写真のクランクシャフトは上方気筒のもの。また、シリンダーヘッドに冷却水出入口がないように見える。

 これらのことから、RP68エンジンは2基以上現存していると思われる。また、日本モーターサイクルレースの夜明けに掲載された上方気筒のアッパークランクケース(右)も現存している。



(2)RP66
 
右写真はAに掲載されたもので、Aでの写真説明は「RJ65」(125cc3気筒)であったが、RP66である。水ポンプがエンジン右端(写真向かって左)にある。また、左シリンダーは前後2気筒一体。冷却水はシリンダー前から入り、シリンダーヘッドから出るようだ。クランクケースの深い冷却フィンに特徴がある。

 前述のように同書のこのような写真はスズキ本社で撮影されたものと思われる。このRP66エンジンも現存しているだろう。

4 諸元

 雑誌、本の記述、写真等から推定したことを含めると以下のとおり。

型式名 RP66 RP68
エンジン型式 ”スクエア”(スクエア4気筒の右後気筒除去) V型
ボア×ストローク o 28×27 28×27
動力取出し 各クランクは独立、前左右のクランクギアは後クランクギアに直接つながる 各クランクは独立、共通のジャックシャフト(下左のクランクはジャックシャフト上の共通のギア、上クランクは別ギアに)につながる
動力伝達 後クランク延長軸→アイドルシャフト→クラッチギア→変速機メインシャフト→変速機カウンターシャフト→スプロケットシャフト ジャックシャフト→クラッチギア→変速機メインシャフト→変速機カウンターシャフト→スプロケットシャフト
変速機段数 14(開発初期は12?) 14
クランクシャフト回転方向 後方回転(前クランク)、前方回転(I後クランク) 前方回転(上下クランク)
エンジンオイルポンプ駆動 スプロケットシャフト右端、クランクケース右外
変速機オイルポンプ駆動 変速機メインシャフトから ジャックシャフトから
回転計駆動 後クランク延長軸から ジャックシャフト右端、クランクケース右外
水ポンプ駆動 スプロケットシャフト右端から ジャックシャフトから
キャブレター ミクニM ミクニVM
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