区間燃費への標高差の影響  

   燃費に影響する測定条件として、速度、渋滞等はよく知られているが、風向・風速、標高差についてはあまり記述がない。風向・風速は絶えず変動するので、燃費の評価にあたって考慮することは難しいが、標高差はネットで調べることができるのである程度は評価することができる。

【NDロードスター】高速道路の燃費が良くなる速度は? – オラサー (orasir.jp)

 これはロードスターの燃費計測例であり、これを用いて標高の影響を見てみる。
 なお、 私のロードスターSでは燃費計の燃費と満タン法燃費の差は平均的には非常に少ないので、ここでは燃費計の数値のみを用いた。満タン法燃費はガソリンスタンドの路面傾斜、停車方向が満タン判定に大きく影響するため、満タン法対象ガソリンスタンドが複数ある場合、誤差がより大きなものとなる。

 行程は次の通り。
 府中IC付近で燃料補給→中央道府中IC→談合坂SA(下り)→白根IC→白根IC付近で燃料補給→祖父のお見舞い→白根IC→談合坂SA(上り)→府中IC→府中IC付近で燃料補給

 中央道での走行速度は往路:80km/h、復路100km/h

 
 往路、復路とも談合坂SAで燃費計の数値を計測したが、リセットはしていないので、往路後半のみ、復路後半のみの燃費計の数値の記載はない。これを計算した結果を含めた燃費は右のとおり。

 右端に標高差を記載したが、この数値は次の理由から概数とご理解いただきたい。
〇ガソリンスタンドの場所が特定できていない。
〇「標高」がSAのような開発された土地の標高なのか、開発前の標高なのかわからない。

 談合坂SAは上りと下りで離れており、標高も20m異なるが、ここでは下りの数値で統一した。

  この結果で分るように、往路、復路とも標高差が燃費に影響している。特に府中IC付近〜談合坂SA間は、復路が100km/hにも関わらず往路(80km/h)を上回っている。

 80km/h走行時の空気抵抗:6.6PS、転がり抵抗3PS、100km/h走行時はそれぞれ12.9PS、3PSとして 各行程が平坦路だったとした場合の仕事量を計算する。 
 また、ロードスターを標高差だけ持ち上げる(又は降ろす)仕事量は、ロードスターの運転者込みの重量を1100sとし計算し、平坦路走行仕事量に加えた結果は次の通り(単位:kJ)。

  府中IC付近〜談合坂SA 談合坂SA〜白根IC付近
平坦路走行仕事量 往路  80km/h      14271      22567
復路 100km/h      19824      29294
持ち上げ(降ろす)仕事量 往路  80km/h      3939     −809
復路 100km/h     −3939      809
合計(実仕事量) 往路  80km/h        18210      21758
復路 100km/h        15885        30104

 府中IC付近〜談合坂では往路の仕事量は復路の仕事量の15%大にも関わらず、燃費にそれほど差はない。これはガソリンエンジンでは部分負荷での熱効率が低く、ある程度負荷がかかった方が熱効率がよいからである。つまり、熱効率では往路>復路であり、仕事量の差は熱効率の変化によりある程度相殺される。
 電気自動車ではこのような「相殺」は期待できない。

 平坦路走行燃費を80km/h:25km/L、100km/h:21km/L、実走行燃費は上記計測結果とし、燃料比重0.75、発熱量10500kcal/kgとして熱効率(伝達効率を含む)を求めると、次のとおり。

  府中IC付近〜談合坂SA 談合坂SA〜白根IC付近
平坦路走行時熱効率 往路  80km/h       0.241      0.241
復路 100km/h       0.268      0.268
実走行時熱効率 往路  80km/h         0.278      0.239
復路  100km/h          0.239        0.271

  概ね、距離当たりの負荷が大きい方が熱効率が高いことが示されている。一般に、平坦路では80km/hより100km/hの方が熱効率が高く、降坂路より登坂路の方が熱効率が高い。紹介した燃費測定結果はそのことが示されたように思える。もちろん、この測定では風向・風速も分らないし、インターチェンジ付近の走行条件も分らないし、、何より走行抵抗の与え方がいい加減であり、走行抵抗の僅かな差が結果に大きく影響する。細かい数字に関しては、こんなことがいえるかもしれないぐらいに思っていただければ幸いである。

参考

 風向・風速の影響は大きい。80km/h走行時、1m/s(3.6km/h)の向かい風を受けると、平坦路の走行抵抗は6.3%増加する。



             HOME