レーシングマシンの名前
日本のレーシングマシンの名前は子供っぽいものが多いと思う。ホンダNS500のNSはNew Sprintracer、NSRのRはResearch、ヤマハYZR500のZはアルファベットの最後の文字だから「究極」の意味?、M-1のMはmission=使命、RGVΓのΓは栄光を意味するギリシャ語の頭文字・・・私だったら恥ずかしくて口に出して言えない。自分で自分のことを「新しい」、「究極」、「栄光」と言うだろうか? 「悪」、「鬼」等の文字をやたら使う暴走族のグループ名と同じ発想のようだ。 スズキの「XR○○」はeXperimental Racerの略ということになっているが、変な意味を込めていないだけに好ましい(アメリカではちょっと危ないかもしれないが)。以前公表されていたヤマハの社内呼称の「OW○○」のOWは、社内の各部門に与えられるコードのうち、レース部門に割り当てられたコードという説がある。レーシングマシンや市販スポーツ車によく使われる「GRSTVXZ」の7文字を使っていないことに好感が持てる。1960年代のレーサーの名前にも飾るような文字はない。 ところで、ホンダRC211VのVは(1)V型エンジン、(2)5気筒の5を示すギリシャ文字、(3)VICTORYの頭文字 、とホンダのHPにある。Vはローマ数字(Roman Numeral)だが、いつの間にか日本ではT、U・・・Vはギリシャ数字になっていた。日本全体が子供になっているのだから、日本のメーカーが子供なのも当然か。子供っぽくなったのは一部の新成人だけではない。 レーシングマシンの名前の何と軽いことか。
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補足 OWについて
ヤマハのファクトリーマシンに使われる「OW」記号は、実は「0W」(ゼロダブル)だということが知られている。 なぜ、0WからOWに変わったかといえば、英語の問題ではないかと考えた。英語では「1.02」を「ワンポイントオウツウ」と読むように、0を「オウ」と読むことが多い。「007」はゼロゼロセブンではなくダブルオウセブンである。また、我が家にある英語の手動タイプライターの0とOのキーは同じである(Oのキーを数字の0として使う)。英語では数字の0もアルファベットのOもあまり区別しないことが多い。スズキXRE0(エックスアールイーゼロ:2002年型GSV-R)も今ではXREOの方が海外ではよく用いられている(Googleで「SUZUKI XRE0」と「SUZUKI XREO」で検索すると後者の方がヒット数が多い)。 しかし、1973年当時の日本のバイク雑誌も0WではなくOWと記載している。雑誌記者のレベルが低いとはいえ0WをOWとわざわざ書き換えるとは思えない。ヤマハの公開資料に元々OWと書いてあったと考える方が適当である。当時、ヤマハ社内の担当が原稿を書くときはおそらく手書きだったのだろう。そしてそれが印刷屋に回る段階で食い違いが生じたのか・・・ |