メーカーチャンピオン

 モーターサイクルロードレース世界選手権(世界GP)は個人(Individual)とメーカー(Manufacturer/Constructor)の2種がある。どちらが重要かといえば個人である。これは、ルールがどうのこうのではなく、世界選手権を始めたヨーロッパではそのように扱われているとしかいいようがない。

 1987年の500ccのメーカーチャンピオンはホンダではなくヤマハだが、普通は「ワイン・ガードナー+ホンダ」がチャンピオンという印象の方が強い。ホンダは1966年に50、125、250、350、500ccのソロ全クラスのメーカー選手権を獲得しているが、英書での扱いは非常に小さいし、1983年のスペンサーのチャンピオンについても「ホンダにとって初の500ccチャンピオンシップ」という書き方がされている。メーカー選手権は個人選手権を獲得できなかった時の残念賞のようだ。

 1954年はメーカー選手権は設定されず、個人選手権のみで争われた(最近のFIMのサイトには、メーカー選手権があったとすれば、というような形でメーカー名が記載されている)ことからも、メーカー選手権のヨーロッパでの扱いがわかる。

付記
 ある「大人向け」(を標榜する)二輪雑誌がメーカーチャンピオンの年別一覧表を載せたことがあったが、1954年の欄は「戦争のためレース中止」になっていた。「大人」もずいぶんなめられたものだ。常識すら疑われる雑誌であっても掲載された写真のために買わざるを得ないとは、「程度の悪い記者に恵みを」慈善事業に参加している気分だった。

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