カラーリング
1960年代の日本のファクトリーマシンのカラーリングは非常に美しいと思う。簡素な塗り分けだけだが溜息をつきたくなるぐらいだ。1970年代以降だんだん色の種類が多く塗り分けが細かく複雑になり細かい線が増えてきた。「デザイナー」にとって何か仕事をしたところを見せるためにはこんな風にしないといけないのかもしれないが、はたしてこれでいいのだろうか。もちろん現代のレーシングマシンは1960年代とは形状が異なるから1960年代そのままのカラーリングが通用するわけではないが、だんだん子供っぽくなっているように思う。
同じような線を引いても美しさを感じるものとそうではないものがある。そして美しい線を引くことのできる人は少ない。市販四輪車がいい例だ。
あるプロ野球チームのユニフォームを有名デザイナーのY氏がデザインしたことがあったが、ヘルメットに目玉のようなマルが書かれておりペンギンを思わせた。また、別のチームのユニフォームの背番号にピンク色が使われたこともあった。そのチームの監督が変わった時にユニフォームもまともになったのだが、その監督が言ったのは「強そうな、そして子供達があこがれるようなデザイン」ということだった。
子供をばかにしてはいけない。どんな子供もポケモンの絵が書かれた飛行機に乗りたいはず、本物とケバさの違いやArchitectureの美しさはわからないと思ったら大間違いである。
現代のレーシングマシンで最もシンプルで美しいカラーリングはメーカー純正カラーではなく、あるスポンサーのものだと思うと情けなくなる。