XR16-XR29(TR100-RJ100)                            SUZUKI

 1970年代のスズキの100cc、125ccのファクトリーマシンの存在を覚えている人は少ないだろう。日本のメーカーにとって重要な市場であった東南アジアでのレースのために開発され、日本ではあまり走らなかったのである。

 1974年にXR16(TR100)(ボアxストローク:52x47mm?)が登場、1975年頃には水冷のXR19(TR125)が計画されたが開発中止、1976年にXR21(TR125)にバトンタッチされた。

 XR21の主要緒元は右のとおり。右写真は現存するXR21でエンジン番号TR125-01、フレーム番号TR125-013
気筒数:1
ボア×ストローク:54×54o
冷却方式:空冷
圧縮比:8.1
吸気:ロータリーディスクバルブ
キャブレター:ミクニVM34
最高出力:28.6/11250rpm

 既に2ストロークエンジンは水冷化が必須の時代になっており、1977年には水冷のXR24(RJ125)が登場した。下は1978年インドネシアGP時の写真である。

 シリンダーはほぼ水平でクランクシャフト右端でクラッチギアにつながるが、クランクシャフト右端のギアで回転計ケーブル、クランクケース上の水ポンプを駆動する。点火用マグネットは、変速機上にあり、クラッチギアで駆動されているようだ。
 
 左は1978年日本GP125ccクラスに山名久の手により出場したスズキの単気筒マシンでRJ125と称されていた。

 上のマシンと比べるとフレームのバックボーン−シートレール間の補強がなくなっており、前ディスクブレーキはツインからシングルに変更されている。

 肝心のエンジンがはっきり写っていないが、シリンダーは水平ではなくやや前傾しているようにも見える。1979年に向けて開発が進められていたXR29(RJ100)のようだ。

 左は1979年日本GPで山名久が乗ったXR29である。
 主要諸元は次のとおり。
気筒数:1
ボア×ストローク:52×47o
排気量:99.8cc
圧縮比:8.1   
吸気:ロータリーディスクバルブ
キャブレター:ミクニVM32SC
最高出力:25PS/11500rpm

 下は現存するマシン。シリンダーは約10度前傾になっているが、他の機構はXR24と変化していない。シリンダーの部品番号は11210XR2904、シリンダーヘッドの部品番号は11111XR2900。このマシンが事実上の最終型と思われる。

 これらのマシンについては、多くの不明点がある。例えば100ccマシンと125ccマシンの関係である。単にレギュレーションの変更により新型マシンの排気量を変更したのか、同一機種名でも100ccと125cc版が存在したのか。そして、肝心の東南アジアでの詳しい戦績がわからないことが残念である。


                                                                                    
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