0W24 yamaha

  
 
1974年当時、ヤマハが350cc4気筒レーサーを開発していたことを明らかにしたのは、ライダースクラブ誌1984-3の数行の記述が最初だったと記憶しているが、The Motorcycle Classics Vol.002(2009八重洲出版)に詳細記事が掲載された。

 右は2011年にヤマハ・コミュニケーションプラザに展示されたエンジン。エンジン番号は「1975年型の3号機」を意味する。

   0W24-E-503  
    説明書きには「並列2気筒のYZR350(0W16)後継モデルとして開発されたGP350ファクトリーマシン。より軽量・高出力を追求し、エンジンはYZR500(0W23)の並列4気筒をベースに、ボア×ストローク:49×46.2mm、シリンダーピッチ92mmのコンパクトサイズで新設計。 さらにフレームも斬新なボックス型の燃料タンク一体式モノコック構造とし軽量・低重心・高剛性を実現。テストで最高出力84PS、最高速度268km/hを記録したが、実戦投入には至らなかった。」 とある。

  下は現存する0W23-E-504で、0W24エンジンが吸気方式の違い(0W23のピストン・リードバルブに対してピストンバルブ)を除き、 説明書きどおり0W23をベースにしていることがわかる。ボアピッチ(シリンダーピッチ)92mmも0W23と同じである。

   なお、0W35(1977年型YZR500)のボアピッチは115mmに拡大されたことから分るように、0W23のボアピッチは出力面では不利だった(掃気経路断面積を確保できない)。 ただTZ350はボア64mm、TZ750は64(後に66.4)mmで何れもボアピッチ102mmだったのだから、0W23も当時としてはボアピッチが特に小さいわけではない。

  さて、The Motorcycle Classicsからすると
・エンジン:設計担当の塩原氏は1974年シーズン中に0W24エンジン設計担当を命じられた。
・車体  :車体設計担当の杉本氏は研究2課に1974年に配属された。0W24はスチールモノコックフレームで、当初は「フレーム内クッションユニット」、後に「フレーム内燃料タンク」。後サスペンションはモノショック。フレーム燃料タンク型では、タンクを覆うダミータンクとシートは一体型。
・開発時期:1974年開始、1975年シーズンに用いられることを想定。

  ということになる。現存エンジンのエンジン番号はこれに符合する。

 
 さて、右写真は1974年シーズン前までに撮影されたものだが、撮影場所はおそらく袋井テストコースと思われる。このマシンのフレーム等は右下写真のRudi Kurthが1973年に製作したマシン(http://www.classic-motorrad.de/cm2002/kurth/rudi-kurth.htmから引用)に酷似している。Kurthのマシンは日本でテストされたという情報もあり、右写真はこのことを裏付けているように思える。

 しかし、右写真のマシンが右下写真のマシンと同じ2気筒なら、350tであれ排気管が短い250tであれ後車軸近くに見えるはずの排気管がない。

 排気管を取り外しているなら、フェアリング下部も取り外されているはずなのにフェアリング下部は装着されているように見える。そして、左ステップバーの下前後に排気管後端らしきものが2つ見える。 左右両側で4つ=4気筒になる。そして500t4気筒0W23のものよりかなり短い。

  Kurthのマシンが日本でテストされた後、350t4気筒エンジンが搭載されたのだろうか? とするならThe Motorcycle Classicsの記述よりも早く350t4気筒の開発が行われていたことになる。写真が不鮮明なので断定的なことは言えないが・・・

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