ロードスターのエンジン性能曲線  

2015年にロードスターの国内販売が始まった頃に エンジン性能曲線が公開され雑誌等にも掲載された。上図はその図に目盛線(青線がトルク、赤線が出力に対応)を加筆したもの。結論から言うと、この図はデタラメである。

●回転数毎のトルクを読み取って出力を計算しても出力曲線と全く合わない。回転数毎の出力を読み取ってトルクを計算すると5000rpm以下では最大トルク150Nmを上回ってしまう。 例えば2000rpmでの出力は40kWだが、トルクを計算すると191Nmになる。

●最大トルク150Nmは4800rpmで発揮するはずなのに、図では最大トルクは4300rpm程度で発揮しており、4800rpmではトルクは低下している。

●7000rpmでの最大トルクは128Nm程度であり、出力を計算すると94kWにしかならない(実最大出力は96kW=131PS)。

 なぜ間違えたが検証しようがない程の間違いである。(マツダがおかしな性能曲線を公表するのはこれが初めてではない)

 正しいと思われるトルクカーブは右図(マツダ技報から引用)http://www.mazda.com/contentassets/c8bdee142bcb4b3b8da1a0f9b4a46785/files/2015_no021.pdf

 7000rpmの最大出力96kWから、同回転数でのトルクは131Nmで、最大トルクは150Nm/4800rpm。従って縦軸の1目盛は10Nmと思われる。
 2000rpmでのトルクは137Nmで、同回転数での出力は28.7kWとなる。
   
 さて、トヨタ86(スバルBRZ)の最高出力は200PSで、リッターあたり出力は100PSとロードスターの86.7PS/Lを上回っている。86のエンジン性能曲線は右図で、トルクカーブ(黒線)には2つ山がある。

 トルクは排気量に略比例するので、86のトルクに0.75を乗じ1.5リットルあたりに換算し、ロードスターと回転数毎に比較してみる。回転数は概ねの数字。

●4800rpm以上では 86 > ロードスター

●3500〜4500rpm  86 < ロードスター

●3000rpm      86 > ロードスター

●2200rpm以下   86 < ロードスター

  86は4000rpm前後と2200rpm以下のトルクを犠牲にして、最高出力を得ていることが分る。

 さて、2000rpm時の出力、車重、ウェイト/パワー比を直接比較してみると(換算なし)、

  出力 PS 車重(ドライバー70kg込) kg ウェイト/パワー
86 G 34 1280 37.6
ロードスター S 28.7 1060 36.9

 ウェイト/パワー比はほぼ同じになる。

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